amarido 雑記帖

日々思ったことを書いていこうと思います。

物欲とエネルギー

村上龍さんの「案外、買い物好き」を読んだ。村上龍さんの作品では「コインロッカー・ベイビーズ」と「55歳のハローライフ」、あと子供の頃に「13歳のハローワーク」を読んだことがあるけれど、エッセイは初めてだ。

印象としては、村上さんはエネルギーがある人なんだろうなと思った。作家さんは皆そうなのかもしれないけれど、文章で人を引きつけて、読ませて、何か伝えるというのは、書く人自身にすごいエネルギーがないとできないことだと思う。演劇やライブを観ると、出演している人のエネルギーの大きさに驚くけれど、ものを媒介させて人を引きつけるためにはそれくらいの、いやそれ以上に大きなエネルギーが必要なのではないか。村上さんのそのエネルギーは買い物という方向に発散されたときにもとても大きくて、そのためにイタリアでシャツを20枚買うという結果になるのだと思う。

私は自分では比較的物欲がない方だと思っていた。友人の買い物話を面白く聞きつつ、私は物にそんなに夢中になれないんだよなーとどこか醒めた感想を持っていた。しかし、最近ちょっと物欲が強くなってきた気がする。通勤用のバッグが壊れてしまったのでネットで色々と探していたのだけれど、これが楽しいのである。外に買い物に出ると体力的に疲れてしまって、見て回る途中でもういいやと思ってくるのだが、ネットは疲れ知らずだ。もちろんたくさんの商品を見ていると頭が疲れてくるのだけれど、そうしたらパソコンをぱたんと閉じて、また明日に持ち越せばいい。実店舗では気後れして入れないようなブランドショップでも、ネットであればパジャマにすっぴんで見て回れる。いい時代になったものだと思う。結局自分の基準では高めのバッグをネットで買ったのだが、高いものを買うと買った後も高揚感が続く。実は私は高いものを買う楽しみを知らなかったから、物欲がないと思いこんでいただけかもしれない…。おお怖い。

ともかく、個人的には、欲望がある人の方が魅力的だと思う。エネルギーがないと欲望もない。今年は「今これがほしいんだよね!」と物欲のある、エネルギッシュな人間になることを目標にしたい。